下請法とは?中小企業が守るべきルールと罰則とは
- 弁護士 森山 大樹

- 2025年6月2日
- 読了時間: 4分
更新日:3月16日
企業間取引では、発注者と受注者の立場に差が生じることがあります。
その結果、代金の支払いが遅れる、発注後に不当に代金を減額されるなど、中小企業に不利な取引が問題となることがあります。
こうした不公正な取引を防止するために制定された法律が
「下請代金支払遅延等防止法(いわゆる下請法)」です。
この法律は、親事業者による不当な取引を規制し、下請事業者の利益を保護することを目的としています。
この記事では、下請法の基本的な仕組みと、企業が注意すべきポイントについて解説します。
下請法の対象となる取引
下請法は、すべての企業間取引に適用されるわけではありません。
以下の取引類型と企業規模の条件を満たす場合に適用されます。
対象となる主な取引
下請法の対象となる主な取引は次のとおりです。
1 製造委託
2 修理委託
3 情報成果物作成委託(ソフトウェアやデザイン制作など)
4 役務提供委託(業務の一部の外注など)
例えば、
メーカーが部品製造を外注する
IT企業がプログラム開発を委託する
会社が広告デザインを制作会社に依頼する
といったケースが該当する可能性があります。
親事業者と下請事業者の資本金基準
下請法では、資本金の規模によって「親事業者」と「下請事業者」が区別されます。
代表的な基準は次のとおりです。
製造委託・修理委託など
①親事業者:資本金3億円超
②下請事業者:資本金3億円以下
または
①親事業者:資本金1000万円超3億円以下
②下請事業者:資本金1000万円以下
このように、資本金が大きい企業が小さい企業に委託する場合に下請法が適用されます。
従業員数による基準(法改正)
近年では、資本金だけでは企業規模を正確に反映しないケースがあるため、
従業員数による基準も導入されています。
例えば
製造委託など:従業員300人超
役務提供委託など:従業員100人超
といった企業が発注者となる場合、資本金が小さくても規制対象になる可能性があります。
そのため、
「資本金が小さいから下請法は関係ない」
と考えるのは危険です。
親事業者の主な義務
下請法では、親事業者に対して次のような義務が課されています。
書面の交付
発注時には
発注内容
代金額
支払期日
などを記載した書面を交付する必要があります。
支払期日の設定
代金の支払期日は、
納品から60日以内に設定する必要があります。
親事業者の禁止行為
親事業者には、次のような行為が禁止されています。
下請代金の支払遅延
下請代金の減額
受領拒否
買いたたき(不当に低い価格での発注)
不当なやり直し
不当な返品
例えば、
納品後に理由なく代金を減額する
一方的に価格を引き下げる
不要な作業を無償で要求する
といった行為は、下請法違反となる可能性があります。
違反した場合の罰則
下請法に違反した場合、次のような措置が取られることがあります。
公正取引委員会の勧告
違反が認められた場合、
代金の支払い
再発防止措置
などの勧告が行われます。
また、企業名が公表されることもあります。
刑事罰
書面交付義務などに違反した場合には
50万円以下の罰金が科されることがあります。
さらに、違反が公表されることで、
企業の信用低下につながるリスクもあります。
企業が注意すべきポイント
下請法違反は、意図的ではなく、
取引慣行の中で発生するケースも少なくありません。
そのため企業では、
契約書の整備
発注書の管理
支払期限の管理
などのコンプライアンス体制を整えることが重要です。
また、発注条件や価格の変更などは、
下請事業者と十分に協議したうえで決定する必要があります。
まとめ
下請法は、中小企業を保護するための重要な法律です。
特に、
資本金
従業員数
取引の内容
によって適用されるため、
企業間取引を行う事業者は、自社の取引が対象になるか確認しておくことが重要です。
適切な契約管理と法令遵守を行うことで、
企業間取引のトラブルを未然に防ぐことができます。
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