内容証明で売掛金は回収できるのか
- 弁護士 森山 大樹

- 7 日前
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企業間取引では、商品やサービスを提供したにもかかわらず、代金が支払われないというトラブルが発生することがあります。こうした場合に、よく利用される手段の一つが内容証明郵便による請求です。
では、内容証明を送れば売掛金は必ず回収できるのでしょうか。本記事では、内容証明郵便の効果と限界について解説します。
内容証明郵便とは
内容証明郵便とは、いつ・誰が・誰に対して・どのような内容の文書を送ったのかを郵便局が証明する制度です。
内容証明郵便は、日本郵便が提供する制度であり、文書の内容そのものが真実であることを証明するものではありません。しかし、後に紛争となった場合には、「このような請求をした」という事実を証拠として残すことができます。
そのため、売掛金の請求においても広く利用されています。
内容証明の主な効果
内容証明郵便には、主に次のような効果があります。
1 支払いを促す心理的効果
通常の請求書やメールとは異なり、内容証明郵便は形式的に厳格な文書であるため、受け取った側に心理的なプレッシャーを与えることがあります。
特に、弁護士名義で送付された場合には、相手が「このまま放置すると裁判になる可能性がある」と考え、支払いに応じるケースも少なくありません。
2 請求の事実を証拠として残せる
内容証明郵便は、「どのような内容の文書を送ったのか」を証明できるため、後に裁判になった場合の証拠として利用することができます。
また、売掛金の請求では、消滅時効の完成を防ぐために催告を行うことが重要になる場合があります。
民法150条では、催告によって一定期間、時効の完成が猶予されることが規定されています。
このような場面でも、内容証明郵便は有効な手段となります。
3 法的手続に移行する前段階として利用できる
内容証明郵便では、
・売掛金の金額
・支払期限
・期限までに支払いがない場合の対応
などを明確に記載することが一般的です。
これにより、相手に対して正式な請求を行い、支払いがない場合には訴訟などの法的手続に移行することを示すことができます。
内容証明だけで回収できない場合
もっとも、内容証明郵便には強制力はありません。そのため、相手が支払いを拒否している場合や、資金繰りが悪化している場合には、内容証明を送っても回収できないことがあります。
そのような場合には、次のような手続を検討することになります。
・支払督促
・民事訴訟
・強制執行
つまり、内容証明郵便は売掛金回収の第一段階の手段であり、それだけで必ず回収できるわけではありません。
まとめ
内容証明郵便には、次のような効果があります。
相手に支払いを促す心理的効果がある
請求の事実を証拠として残すことができる
法的手続に進む前段階として利用できる
もっとも、内容証明郵便には強制力がないため、必ず売掛金を回収できるとは限りません。支払いがない場合には、支払督促や訴訟などの法的手続を検討する必要があります。
売掛金の未払いが続いている場合には、早い段階で弁護士に相談し、状況に応じた回収方法を検討することが重要です。
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